2008年03月09日

白神山地のお膝元、田代釣行1

2001年5月上旬

今年のゴールデンウィーク
「今年の連休は暦通り?」4月下旬に富士川水系を釣行した際に、Tさんが切り出した。
「今年は秋田にしようと思うんだけど、どう?」
当会の世話役であるTさんは、東北地方へ遠征釣行する際の場所決めや宿泊先(民宿だったりテントだったり)などをチョイスしてくれる、とっても頼りになるオジサンなのだ。
「どう?も何も、OKに決まってるでしょ。会長のオレが行かない訳がないでしょ」ましてや、渓流バカの私だ。他の用事なんてすっぽかしてでも行くに決まっている。
「Oさんは仕事で忙しいからパスだって」  まぁー仕事熱心なこと。
「Fさんは身内関係の用事でパスだって」  家族サービスだな、ご苦労さん。
というわけで今回は、TさんとMちゃんと私の3人だから、車1台で交代で運転していこうということになった。
その時申し合わせた事項として、日時と集合場所、それと「はまちゃん(私だ)は刺身の盛り合わせを持ってくること」という事になった。(私の実家は鮮魚店なのだ。)

波乱の幕開け
本日出発の日である。
私は早めに仕事を切り上げ、帰路についた。いつもより早い夕食と、いつもより早い入浴を済ませ、実家に頼んでおいた刺身を取りに行く時間を考慮して、早めに自宅を出た。
難なく刺身をゲットした私は、最寄の首都高のI.C.を目指した。これから起こるハプニングなど、知る由もなく。
首都高6号線堤通まで軽快に車を走らせる。電工掲示板には一部渋滞の表示はあるものの、この調子なら大した事は無いだろうと思っていた。
向島出口辺りから俄かに混み出した車は、浅草を見下ろす辺りに差し掛かると完全に止まってしまい、両国を通過するのにかなりの時間を費やしてしまった。さらに、箱崎から環状線〜4号線へと全てノロノロの大渋滞。しかも外は大雨。
たまらず永福で首都高を下り、環八通りから五日市街道へ出たが、すでに1時間の大遅刻である。途中でTさんには電話を入れたが、待ちくたびれてフテクサレた二人の顔を思い浮かべると、申し訳ないと思う気持ちはあるものの、なぜか笑いが込み上げる。

待ち合わせ場所に着くと、一台の四駆が止まっていた。Mちゃんの車だ。
中を覗くとTさんとMちゃんがフテ寝をキメ込んでいる。雨に打たれ、1時間以上も待たされた四駆も、フテクサレているように見えた。
起こしずらいが、窓を軽く叩いて起こす。ムックリ起き上がって外に出てきたが、いつもと様子が変だ。怒っている模様だ。
荷物を素早く載せ代えたが、私の荷物に一々クレームがつく。
やっぱり怒っているようだ。
「そんな本流竿なんか持ってきたって使いっこない」とか「そんなデカイクーラーボックスなんて何入れんの」とか。
やっぱり怒っているようだ。
しかし、ここで私が二人の機嫌をあっという間に直す、起死回生の逆転満塁ホームランを放った。
「このデカイクーラーボックスの中にはだね、六千円相当の刺身の盛り合わせ(本当に六千円相当なのだが、三千円で手を打ってきた)が入っているのだよ」
どうだっとばかりに言い放った。
まさに起死回生。二人の機嫌があっという間に直った。まったくゲンキンなものだ。
手前味噌ではあるが、私の実家の鮮魚店は、知る人ぞ知る名店なのだ。特に刺身には定評がある。刺身を買いに、遠くから車を走らせてお客さんが来るのだ。

我々が向かう釣り場は、秋田県田代町米代川水系早口川と岩瀬川と、その支流群である。
標高1,177.8メートルある霊峰田代岳は、昭和50年1月11日に県立自然公園に指定され、山岳と山麓、大川目川上流、岩瀬川渓谷一帯で区域面積1,872.9ヘhaを有する。
美水の源である田代岳周辺の山々は、天然山菜の宝庫としても知られる。また、米代川ではアユ、渓流ではヤマメ、イワナの魚影濃い川で有名だ。

外環道大泉から東北道へ、一路十和田方面を目指す。加須付近から渋滞しはじめたが、宇都宮を抜けると徐々に流れが良くなり、車の量は俄然多いものの、後は軽快に走れた。
山形県を抜ける頃には、夜もすっかり明け、雨もあがっていた。車窓から見える田んぼは、すでに田おこしも終わり、田植えも間近だ。

大川目川
akita1.jpg
岩瀬ダムに着いた。
出発してから実に9時間かかった。
疲れは感じない。
どんなに長旅でも、目的が好きなこととなると疲れなど感じないものだ。
いや、山が疲れを心地良いものに換えてくれたのかもしれない。

ダム湖の水を堰き止めているのは石積みの壁だ。詳しい構造は分からないが、これが県内初のロックフィルダムだそうだ。そのダムを右手に見ながら車を進めると、やがて田代岳大橋にさしかかる。この橋を渡り、左に折れると五色湖ロッジがある。
我々は、このロッジに宿泊して秋田県の自然を満喫する。

一度ロッジをやり過ごし、ダムの上流へ車を走らせた。
五色湖(岩瀬ダム)の上流が大川目川だ。(早口ダムの上流も大川目川というが、関連は解らない)
舗装はロッジ付近まで。その先は砂利道の林道が川に沿ってのびている。
懸念していた林道の除雪作業はとっくに終わっていた。
雪代が入っているので、かなり増水している。流れも強そう。右岸から流れ込む支流の赤倉沢は鉱毒の川で、石が赤茶に染まっていた。
さらに上流へ車を進める。
akita2.jpg
蕗原沢との出会い付近に車を止める。
大川目川はここで直角に角度を変え、尾根の向こうへ流れていく。林道も大川目川に沿って角度を変えるが、蕗原沢沿いにも道があり、林道は丁度三叉路になっていて付近の案内板もあり、そこだけ道が広い。
川原に下りてみる。残雪の中から今が盛りとフキノトウが顔を出し、我々を歓迎してくれる。
雪代の入った大川目川の轟音が山に響く。我々を洗脳するかのように、腹の底と脳に「ゴウゴウ」と重たく響く。
我々は取り付かれたように黙々と釣り支度を始めていた。

車のドアが閉まる音で我に返った。
「あれ、釣りするの?」口々に言う。
実は、一度川を見た後ロッジに向かい、宿泊の手続きを済ませてから「改めて釣り場を探そう」という算段になっていたのだ。
それが、どういうわけか手に竿を持ち、支度は万全となっていた。
奇怪な行動に一同「ゾッ」としたが、目の前の川でイワナが口を開けて待っていると思うと、「『ゾッ』となどしてられない。とにかく釣れ」ということで、各々川に入っていった。
私とTさんは本流へ、Mちゃんは蕗原沢へ入渓した。
akita11.jpg
川の脇の湿地帯に、水芭蕉の群生を見つけ、カメラに収めた。自然の水芭蕉は見るのが始めてで、少し興奮した。
ハリにエサを付けて、緩い流れにエサを流すとすぐにアタリがある。しかし20センチ前後のイワナばかりで良型が釣れない。辛うじて淵で25センチのイワナを2尾キープしたが、それ以上のサイズは出なかった。結局、Tさんも2尾。Mちゃんにいたってはアタリすらなかったという。
akita3.jpg
軽く昼食を済ませ、少し下流に車を走らせる。
右岸に名瀑糸滝が見える駐車場に車を止め釣り遡るが、釣れてくるのは小型のイワナばかり。小型のアタリにうんざりした我々は、釣りを諦め山菜取りに転じた。
フキノトウは大半が開いていたが、探せばつぼみ状のものが幾つかあった。
こごみは丁度良い時期で、あちこちで採れた。
タラノメは取りやすい道路脇のものはすでに無かったが、少し山に入ればまだいくつかあった。
その他、ウド、ギボウシ等も採れた。
(山の持ち主さんごめんなさい)
この山菜は明日の夕食のおかずとなる。

この日の夕食はTさん特製の竹の子ご飯に私の持ってきた高級刺身(?)の盛り合わせ、イワナの塩焼き、そして酒。
なんと、贅沢な……。
五色湖ロッジでは自炊だが、厨房には何から何までそろっている。器類、調味料類、炊飯器まである。とりわけウレシイのが冷蔵庫の存在だ。ビールは冷えたものが飲みたいし、食料の保存にも気を使わなくて済む。

高級刺身と渓の恵みと未だ冷めやらぬ興奮を肴に秋田の夜が更けていく。
posted by はまちゃん at 19:01| 埼玉 晴れ| Comment(0) | TrackBack(0) | 釣り紀行渓便り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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