2008年05月16日

渓流釣りの魅力〜釣り紀行にのせて〜

5年前にさかのぼる・・・・・・

 山梨県 相模川水系桂川 

朝6時に目が覚めた。昨夜降っていた雨は止んでいた。
大月まで夜駆けで2時間。車中で一夜を明かした。
寝袋にくるまって寝たが、やはりこの時期の朝は寒い。寒くて目が覚めてしまった。
山の輪郭が薄っすらと浮かぶ朝もやの中、まだ寝ている体を起こそうと大きく背伸びをした。山の冷気が体中をめぐる。
渓流のせせらぎが逸る気持ちに拍車をかける。

「早く釣りたい」
今年初めての渓流釣りに、ここ桂川を選んだ。

私の所属する渓流釣りクラブのメンバーは北志向が強い。例に漏れず私もそうで、福島県以北の渓流への釣行が多くなっていた。
そんな中、雑誌で甲斐絹織(かいきおり)の記事を目にした。
「桂川はどうしたろう、変わらぬ流れで渓魚を育んでいるのだろうか?」ふと思い、急に行きたくなってしまったのだ。
甲斐絹織は富士北麓、郡内地方の織物の名称で、古くは郡内織とも呼ばれていた。 先染で細糸使いの目の混んだ織物が特徴で、ネクタイやスカーフなどが販売されている。
富士北麓といえば桂川が名高い。富士五湖の山中湖を水源とし、西北岸水口(ヤナ尻)から発して富士山麓の平野部で多量の湧水を飲み、緩やかに流れて富士吉田市を貫流する。
都留市内に入ると右岸から鹿留川を迎え入れ、次に左岸からしゃく流し川を合流、同じく左岸から大播川を、やがて禾生(かせい)で右岸から菅野川、戸沢川、朝日川の流れを一挙に併呑して大月市に達する。ここで笹子川、猿橋下流で葛野川、県境の上野原で鶴川を合流すると相模湖のバックウォーター、これより下流は相模川と名を変える。


今から十数年前、私と釣友のOさんは桂川の鳥沢地区によく釣りに来ていた。
市の総合体育館の駐車場に車を止め、そこから川まで斜面を下る。瀬尻から淵へ、餌を流せば必ず渓魚が釣れた。
時には尺を越すピンシャンのニジマス、時には尺近いヤマメやイワナ。我々を満足させるに余りある釣果を得ることができる川だった。
アユのシーズンになると釣り人が殺到するこの辺りも、シーズンオフには閑散としていて、当時釣り人を見かけたことはなかった。
ここは、私とOさんの穴場だった。


そんな桂川に再び訪れた。
 
透き通った渓水に手をいれる。思ったより温かく感じた。
川原から望む民家の庭先には梅の花が満開を迎え、山里に春の訪れを告げる。
山から顔を出した太陽も、すっかり春の日差しである。
絶好の釣り日よりを予感させる。
岩を跳ぶ私の足取りも軽い。

釣り初めて2時間程経っただろうか、川原に人影が多くなってきた。
何の騒ぎかと近づいてみると「にせんえん」と声を掛けられた。
今日は地元のニジマス釣り大会で、参加費2000円。「放流したばかりだから直ぐ釣れるよ」というのだ。
冗談じゃない。遊漁料800円のこの川で、+αを支払って尾びれの丸いニジマスしか釣れないのでは、渓流釣りに来た甲斐がない。それに、淵に群がる釣り人の多さにすっかり釣気も失せてしまった。
早々に竿をたたみ桂川を後にした。
絶好の釣り日よりが台無しになってしまった。



 相模川水系真木川
magi1.jpg
帰るにはまだ時間が早かった。
桂川の支流で釣りをしようと思い、地図をめくって真木川を選んだ。
大月IC.から中央道に乗って帰るのだから、なるべくインターチェンジの近くの川にしようと思った。他には特に理由は無かった。
国道から交差点を山側に折れて真木の集落へ。
真木には真木温泉がある。泉質は効能豊かな単純硫黄冷鉱泉(低張性アルカリ性泉ph10.3)。全部屋に露天風呂を備えた一軒宿。
庭園では梅・桜・ツツジ・紅葉と、四季を通じて楽しめる山里の湯宿だ。
また、飲料用も販売されており、糖尿病や胃腸の弱い方に好評とか。
一度足を運んでみるのもいいだろう。

さて、
真木の集落を抜けて真木川へ出る。
適当に入渓路を探して入渓した。
本流とは違い水温が低い。
北側の斜面にはまだ雪が残っていた。

釣り初めてすぐに漁協のおじさんが遊漁証のチェックに来た。遊漁証を見せ、すぐに帰ると思ったら、暫く私の後ろで私の釣りを見ていた。
「どこからきたの、千葉?」「餌はなに、ブドウ?ミミズ?」「仕掛けは?」「竿は?」まったく鬱陶しい。
無碍にするのも如何かと思い適当に返事をしていたら、こちらの気持ちを察したのか「今朝ここから一人入っていったから食いは渋いと思うけど、あの淵も、あの淵も、必ず居るから根気よく粘ったほうがいいよ」と親切に淵を幾つか指差して教えてくれて、「がんばって釣ってください」と言って去っていた。
確かに食いは渋いが、粘ればヤマメが釣れる。しかし、型が今一つ小さい。
釣っては放し釣っては放しを繰り返し、堰堤を2基程高巻いて、20センチと24センチのヤマメを手にすることができた。
2匹も釣れれば充分だ。

magi2.jpg

私が渓流釣りにのめり込んでいったのも、渓が自然を満喫できるフィールドだったからだ。
小さい頃から父に連れられて、海や川に釣りに行った。友達とも自転車で片道1時間かけてコイやフナ釣りにもよく行った。
魚が掛かったときの『引き』にいつも気持ちが高ぶった。これが私の釣りの原点かもしれない。
初めて渓流釣りに行ったのは、20歳の時だ。仕事で知り合ったTさんに連れられて、山梨県の渓流で初めて手にしたヤマメの美しさに渓流釣りのトリコになってしまった。
渓流釣りを始めた頃はヤマメに遇いたくて夢中で渓流釣りに出かけた。
何シーズンかして余裕がでてきたのか、釣り場の周囲に目を向けられるようになり、渓流釣りに対する考え方が変わってきた。
自然という大きな観点のなかで、釣りをどう考えるかが大切なのではないかと思うようになったのだ。
瀬音に癒しを感じ、鳥のさえずりに長閑さを感じる。
草花に逞しさを感じ、動物との出会いに感動を感じる。
吹く風に清清しさを感じ、生い茂る木々に躍動を感じる。
そして偶に釣れる渓魚に満足するのである。
そういった相対的な自然のなかで、渓流釣りが成立しているのだと感じるようになったのだ。
それ以来、渓に居ることがたまらなく好きになった。


堰堤の下、飛散る水飛沫を浴びながら山の景色を眺めていた。斜面に生える木々は芽吹きはじめていた。
時折、雲間から射す日差しがとても暖かかった。
渓沿いを低空飛行する川ガラスが堰堤の中間辺りにある穴の中へ消えていった。


2003年3月下旬

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posted by はまちゃん at 20:15| 埼玉 霧| Comment(0) | TrackBack(3) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Excerpt: こんにちは。みなさん元気ですか?今日も頑張ってブログを更新しますよ!いや、大月に...
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